窮境原因の除去と事業改善

窮境状態の会社は、まずは事業改善に努めなければなりません。過剰債務問題が解消しても、事業改善しなければ、再度、窮境状態に陥るリスクがあり、事業再生できないからです。

1 窮境原因とその除去

窮境状態に陥った多くのケースでは、外部環境が変化したことと、内部に問題があることの2つが指摘できます。
外部環境の変化とは、

  1. 会社がターゲットとしている市場自体の縮小
  2. 強力な競合の出現
  3. 得意先の喪失

  4. 為替変動

などが挙げられます。


内部に問題があるとは、原価管理を一切していないなどの経営管理体制の不備であったり、代表者の独断経営とガバナンス欠如であることなどが挙げられます。経営が厳しくなる会社は、このような外部環境の変化に対して、適切な対応が取れておらず、且つ、内部的にも問題を抱えていることが多いです。加えて、経営理念、経営陣の考え、社風など目に見えないものが会社の業績に与えている影響も多いことが事実です。平たく言えば、従業員が会社のために頑張ろうという意識が低い会社、不平不満を有している会社であれば、会社が衰退に向かうのは必然と言えます。目に見える原価管理体制や労務管理だけ整えても、中で働く従業員の心が変わらなければ、真の再生は出来ないことは事実だと思います。そのためには、社長をはじめとした経営者の意識を変えてもらうことが一番大事と考えます。その意味で組織をしっかり立て直すことは、事業再生の基盤になる重要な事柄と言えます。
以上に基づいて、例えば、不採算店舗を閉鎖するとか、経費を削減することは重要な要素と言え、最初に検討することが多いです。

しかし、経費削減だけでは、尻すぼみになってしまうリスクも内包しております。窮境原因の除去だけでは将来の見通しを立てられないケースもあり、ケースによっては、スポンサー支援を必要とするケースがあります。

2 市場細分化戦略、製品差別化戦略など

大事なのは、会社の経営資源(コアコンピタンス)を見極めて、顧客への感動を与えるもの(付加価値、サービス、商品)が何かを徹底的に議論・検討していくことです。特に中小企業の場合には、経営資源に限りがありますので、焦点を絞ることが大事です。たとえば、地域を絞る、対象顧客の年齢、性別、家族状況を絞ることなどが大事になってきます(市場細分化戦略)。また、製品(サービス)についても、大手と同じ商品を大手と同じように作ってもブランド力、コスト面でかなわないはずですから、それに注力するのではなく、会社の強みを生かした、大手では出来ない独自の商品(サービス)を展開できないかを検討する(製品差別化戦略)ことが必要になる所以です。

3 アクションプランの立案

上記検討を踏まえ、十分な議論によって共有した課題をまとめます。
課題の重要度によって優先順位を意識しながら担当者と実施時期(スケジュール)を定めます。
ここが事業改善の命であるため、社長をはじめとした会社の方々に良く考えてもらうほか、改めて専門家の意見を取り入れます。
なお、アクションプランの実施状況は、計画同意後のモニタリングで進捗状況を確認することになります。