経営者保証に関するガイドラインと一時停止

経営者保証に関するガイドラインを利用する場合には、一時停止の要請を行うことが必要です。金融機関は、同ガイドラインに則って当該要請に、誠実かつ柔軟に対応することになります。

1 一時停止の意義・効果

一時停止の要請は、多数の債権者がいる保証債務整理を公正衡平に行うために必要とされています。一時停止の要請の効力発生時点は、弁済計画策定の財産評定の基準時(経営者保証に関するガイドライン7(3)④イ)b))とされております。
基準時点の意味は非常に大きく、主に3つの重要な意味を持ちます。第一に、基準時点をもとに、残存資産(保証人の手元に残す財産)と非残存資産(弁済対象にする財産)に分けることになります。第二に、基準時以降の収入は、原則として弁済原資に含まれません(経営者保証に関するガイドラインQA7-29)。第3に、一時停止の要請は、経営者保証に関するガイドラインの利用の開始地点とされる位置づけです。主たる債務の整理手続の終結後に保証債務の整理を開始したときは、残存資産の範囲は自由財産の範囲内に限られますので(保証GL7(3)③、保証GLQA7-20)、主たる債務の整理前に一時停止の要請を行うことが大事ということです。

2 一時停止の要請の方式

一時停止の要請は、主たる債務者・保証人・支援専門家の3者が連名した書面によるのが原則です。ここで支援専門家とは、保証人の債務整理を支援する専門家(弁護士、公認会計士、税理士等の専門家であって、全ての対象債権者がその適格性を認めるもの)になります(経営者保証に関するガイドライン5項(2)ロ))。支援専門家には、代理人弁護士も含まれますが、主たる債務者と保証人の利益相反には留意が必要です(経営者保証に関するガイドラインQA5-8)。
一時停止の要請は、全ての対象債権者に対して同時に行われていることが必要とされています。一体型の場合には、主たる債務の整理を行うバンクミーティング時に同時に申入れすることになりますが、単独型の場合にはバンクミーティングまで行わず、FAX・郵送等で一斉送信することもあります。
 一時停止の要請の書式は、再生支援協議会も特定調停もインターネット上で書式が公開されております。