経営者保証に関するガイドライン単独型における再生支援協議会利用の留意点

経営者保証に関するガイドラインの単独型で再生支援協議会を活用する場合の留意点について説明します。

1 保証債務の整理手順とは

再生支援協議会を活用して経営者保証に関するガイドラインを利用するマニュアル(要件論)として、
「中小企業再生支援協議会等の支援による経営者保証に関する ガイドラインに基づく保証債務の整理手順」Q&Aがそれぞれ制定されています。この整理手順は、主たる債務と保証債務を一体として整理する一体型にも保証債務の整理のみを整理する単独型のいずれの場合にも利用可能なものです。再生支援協議会を利用して、経営者保証に関するガイドラインを活用する場合はこの整理手順を参照して進めることになります。

2 手続の留意点

(1)一時停止の要請(協議会手続では、返済猶予等の要請といいます。)

経営者保証に関するガイドラインを活用する場合には、保証人が保証債務の整理を申し出る必要があります。再生支援協議会を利用する場合、整理手順では、【一体型】、【単独型】のいずれの場合も、弁済計画策定支援を行うことを決定した場合、実施部門、保証人及び支援専門家の連名により、対象債権者に対し、返済猶予等の要請を行うとされています(手順第4項(2)⑤)。

(2)事前同意を得ておくこと

単独型のケースにおいて、再生支援協議会を活用する場合には、事前に積極的な同意を取ることが必要とされています。実務的には再生支援協議会と十分な調整を行うことが必要と考えられます。

(3)インセンティブ資産

対象債権者がインセンティブ資産について保証人の残存資産に含めることを検討するためには、主たる債務の整理手続が終結する前に、本整理手続による保証債務の整理が開始される必要があります(経営者保証に関するガイドライン第7項(3)③)。また、保証債務の整理は対象債権者に対して申し出る必要がありますので、本整理手続において保証人にインセンティブ資産を当該保証人の残存資産に含めることを検討する場合には、主たる債務の整理手続が終結する前に、統括責任者が弁済計画策定支援を行うこと(要は第二次対応すること)を決定し、対象債権者に対して弁済計画策定支援を行うことを伝えるか(本手順4.(2)④)又は返済猶予等の要請が行われる必要があります。

単独型のケースで、再生支援協議会を利用する場合には、第二次対応が遅くなると、インセンティブ資産が残せなくなりますので、主たる債務の整理手続終結前に第二次対応を取れるように十分に債権者調整を行うか、主債務者の整理の時期の調整を図ることが必要と言えます。