夫婦の債務整理の諸論点

結婚している方が破産になる場合、様々な点が問題になることがありますので、以下、整理してみました(文責:水原祥吾)。

1 手続選択の問題

(1)問題の所在

わが国には、夫婦が共同して倒産手続を申立てる制度はありません。したがって、夫婦は、個々に倒産手続を選択することが出来ます。また、我が国は、夫婦別産制が原則(民法762条1項)です。
一方、夫婦は、相互に生活扶助義務を負い(民法752条)、日常家事債務については夫婦の連帯責任があります(民法761条本文)。また、夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、夫婦の共有財産となるし(民法762条2項)、学説上潜在的共有制論等も有力に主張されています。
そして、夫婦別産制といえども、実際は、夫婦双方の収入で家計をやりくりしているのが現実であり、いわば夫婦間では、婚姻共同体が形成されています。
そこで、破産手続の開始原因である「支払不能」は、夫婦一方の収支状況だけでなく、家計単位で判断すべきことになると思われます。
このような実体法と手続法の関係で、破産手続開始原因である「支払不能」をどのように考えていくべきか問題となります。以下、ケースごとに分けて考えてみましょう。

(2)夫(A)、妻(B)双方破産申立

この場合、特に問題となる事柄はないと思います。ただ、Bの破産費用(申立代理人に対する費用)についてAの資産から捻出して問題がないか、問題になり得るものの、生活のための有用の資といえると思われます。

(3)A任意整理、B破産申立

【ケース1】

Aは、生活のため、消費者金融会社から5社借入をし、引き直し計算後借入総額50万円となった。Bも、生活のため、信販会社等から借入等をし、負債総額100万円となった。Aのみ就労しており、Bは専業主婦である。
X弁護士は、Aは任意整理で分割和解して、B名義の資産は預貯金10万円しかなく、同時廃止の破産申立を検討している。

■問題

Aの任意整理での和解契約内容如何によって、Bの破産申立に影響を及ぼすのでしょうか。

(解説)

原則として影響を及ぼさないと考えます。夫婦別産制のもと、夫婦間で婚姻共同体が形成されていることからすると、夫婦は、夫婦間で夫婦のいずれの債務を、どのように弁済するか、互いにどのような債務整理を行うか、話合によって決定できるという、一種の自律的裁量権を有すると考えられます。1そこで、この夫婦の裁量的判断が明らかに逸脱又は濫用にならない限り、問題はないと考えます。
その結果、Aの債権者は全額回収できる見込みがあり、一方Bの債権者はその債権が貸倒れとなり、債権者平等の見地から問題がないかという疑問が生じますが、夫婦別産制のもとではやむを得ないと思われます。2

【ケース2】

Aは、生活のため、消費者金融会社から5社借入をしていたが、X弁護士が債務整理をして、引き直し計算を行ったところ、過払金50万円が生じた。一方、Bも、生活のため、信販会社等から借入等をした結果、負債総額が100万円であった。A、Bは就労しておらず、今後も就労可能性は低く、年金生活である。
X弁護士は、B名義の資産は預貯金10万円しかなく、同時廃止の破産申立を検討している。

■問題

Aに対する過払金の返還は、Bの破産申立に影響を及ぼすのでしょうか。すなわち、Aの資産を考慮すると管財事件になるのでしょうか。

(解説)

同時廃止の申立を認めてよいと考えます。夫婦別産制の原則からすると、Aの過払金は、Bの破産財団に含ません。「支払不能」の判定にAの過払金の収入を考慮したとしても、A、Bに就労可能性がなく、Bは、今後、負債を返済できないと考えられます。したがって、Aの過払金の返還は、「支払不能」に影響を及ぼさず、同時廃止の申立を認めてよいと考えます。
なお、Aは、Bの債務が日常家事債務にあたり責任を負う可能性があるといえますが、これは、Bの破産手続外で債権者がAに対して行使すれば足りると考えれます。3

(4)A破産申立、B債務整理せず 

【ケース3】

Aは働いたお金で夫婦の家計の管理をしていて(Bに生活費を渡していた。)、一方、Bはパートに出ていた。Aは、以前は月30万円の収入があったが、約5年前、会社が倒産したため失業した。その後、Aは、以前からの貯金や株取引で生活をしていたところ、約3年前、株価の暴落のため、資産がほとんどなくなってしまった。そこで、Aは、生活と借入返済のため、消費者金融会社等から合計約300万円を借入れた。Aは、このような事実があったことをBに内緒にしていた。一方Bには、結婚後パートで貯めた資金100万円とBの母親の死亡による遺産相続で取得した預金200万円の資産があった。Aは、破産申し立てすることを決意したが、Bは、この事実を知って夫婦関係が冷え切ってしまった。Aから債務整理を受任したX弁護士は破産申立を検討している。

■問題

Bの資産を考慮すると、Aは、「支払不能」といえるでしょうか。

(解説)

「支払不能」と認定してよいと考えます。
確かに、債務発生の主たる原因が生活費であることからすると、Bにも相応の責任があると考えるのが相当であり、Bの資産から相応の支出をすべきと考えられますが、破産手続とは別の手続によって解決することが相当と思われます。具体的には、Aの債権者がBに対して日常家事責任を追及する等が考えられます4
また、このようなケースでは、実際上Aの借金に関してBに援助を求めようとしても、夫婦関係が冷え切っているため、Bに援助を得ることは難しい状況です(援助可能性の観点)。さらに、ケース4で問題なく「支払不能」を認めるのであれば、それとのバランスを考慮すると「支払不能」と考えるべきと思います。さらに、A側で過去に支出した婚姻を継続するために支出した生活費用について、Bに対して過去の婚姻費用を請求することは法的に難しいと考えられ、過去の婚姻費用負担分がAの(破産)財団に属するとも考えることは困難です。
ただし、この種の事案は、「支払不能」といえたとしても、資産調査や免責調査、観察型の管財事件として取り扱うべき事案が多いような気がします。

【ケース4】

Bは、Bの父親の事業に関して、連帯保証人(C信用組合が債権者。債務200万円)となっていたが、Bの父親が破産申立をした。このため、C信用組合が保証債務の履行をBに請求してきたが、Bには請求当時、B名義の財産は特になかった。もっとも、A名義の資産は、不動産時価1000万円、預貯金約200万円あった。Bから債務整理を受任したX弁護士は破産申立を検討している。

■問題

Aの資産を考慮すると、Bは「支払不能」といえるでしょうか。

 

(解説)

支払不能と認定してよいと考えます。そもそも、夫婦別産制が原則であって、Aは、Bの債務を支払う義務はありません。夫婦に生活扶助義務があるとしても、Aは、Bが債務を返済するように協力する義務まで考えられないからです。

(5)A個人再生、B破産申立

【ケース5】

AとBは、5年前にA名義で住宅用不動産を購入した。本件住宅には住宅ローン債権を被担保債権とする抵当権が設定されている。住宅ローン債権の債務者名はAであり、残債務は2000万円である。一方本件不動産の評価額は、1000万円である。
Aは会社勤めをし、Bもパートに出て働き、共稼ぎをして住宅ローンを返済していた。もっとも、諸々の事情があり、Aの給与収入が大幅に減額され、住宅ローンの支払が苦しくなってきた。Aは、住宅ローン以外にも数件の借入債務がある(合計約300万円)。
一方、Bは、生活費を捻出するため、やむなく消費者ローンから借入をし、負債額が100万円を超え、返済の目途が立たなくなった。
A、Bは、住宅を手放しくたくないが、このままでは住宅ローンの支払が困難である。
A、Bから債務整理を受任したXは、Aについては、住宅資金特別条項付の小規模個人再生手続開始、Bについては、現金20万円未満のため同時廃止での破産申立を検討している。

■問題

Aについては、個人再生手続、Bについては、同時廃止の破産申立を認めてよいでしょうか。5

(解説)

認めてよいと考えます。ケース2と同様、夫婦別産制のもと、夫婦間で婚姻共同体が形成されていることからすると、夫婦は、夫婦間で夫婦のいずれの債務を、どのように弁済するか、互いにどのような債務整理を行うか、話合によって決定できるという、一種の自律的裁量権を有すると考えられるからです。

2 離婚(別居中を含む)手続中の破産

(1)権利者の破産

【ケース6】

Aの不貞行為が発覚して、AとBは別居した。Bは、別居後Aが婚姻費用を支払わなかったこともあり、Bは生活のため消費者ローンから借入をし、負債額が100万円を超え、返済の目途が立たなくなった。Bは、現在Aと離婚することを検討しているが、未だA離婚調停等申し立てていない。
このような状況で、Bは、Xに対して債務整理を依頼した。Bの現金預貯金は20万円未満であり、その他特に資産はない。もっとも、Aにはそれなりの資産があると推測される。

■問題

同時廃止の破産申立が認められるでしょうか。

(解説)

認められると考えます。Bは、Aに対する慰謝料請求権が発生すると考えられるが、行使するかどうかは、債務者の一身専属的なものであるから、既に支払の合意がなされている場合を除き、破産財団に帰属しないと考えられる(最判昭和58年10月6日民集37巻8号1041頁)。
婚姻費用分担請求権についても、夫婦関係が破綻する前の生活費については後から婚姻分担を請求できないというのが審判例の傾向です。
さらに、財産分与請求権は、離婚した時に初めて現実化するものであり、未だ離婚前に破産したときは破産財団には帰属しません6

【ケース7】

AとBは、別居して離婚について話し合っていたが離婚条件がまとまらず、BはAに対して、離婚調停、婚姻費用支払の調停を申立て、同調停では、婚姻費用(月6万円)、養育費(月4万円)、財産分与(100万円)、慰謝料(100万円)及び年金分割を請求しているところである。
Bは、別居前から、消費者ローン等から借入をし、負債額が300万円になったので、弁護士Xに債務整理を依頼した。X弁護士が破産申立をしたところ、裁判所は、Z管財人を選任し、破産手続を開始した。

問題

破産手続中、離婚調停等はどのように取り扱われるでしょうか。また、慰謝料等は破産財団に含まれるでしょうか。

(解説)

【調停手続について】
離婚調停・・・
受継しないと考えます7
婚姻費用分担・・・
受継すると思われます(ただし、婚姻費用は、破産手続開始決定前までのものが、破産財団になり、破産手続開始決定後は新得財産になると思われる。)。
【破産財団に含まれるかについて】
1 婚姻費用・・・・
開始決定前までの期間は破産財団に属します。そして、開始決定後は、新得財産と解されます。
2 養育費
離婚していない以上、破産財団に属さないと思われます(離婚前の養育費は、婚姻費用に含めて考えてることになります。)。
3 財産分与
財産分与請求は一身専属でなく、「破産手続前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の財産」(破産法34条2項)に該当し、破産財団に属する財産といえそうですが8、財産分与請求権は、離婚が生じたことによって始めて実現化するものであって、(調停)離婚することは、専ら当事者の意思に基づくものであり、破産開始手続前によって生じたとはいえないと考えます。したがって、破産財団に属さないと考えます。
4 慰謝料
慰謝料の具体的な金額が当事者間において客観的に確定していない場合(要するに一身専属権が失われていない。)は、自由財産ですが、債務名義の成立等、破産手続中に慰謝料請求が確定すれば、(破産開始前の原因に基づくものである場合)破産財団に属します(最判昭和58年10月6日民集37巻8号1041頁)。いずれにせよ、本件では、いまだ確定しておらず、破産財団に属しません。
5 年金分割
年金であるから自由財産となり、破産財団に属しません。

【ケース8】

AとBは、別居して離婚について話し合っていたが離婚条件がまとまらず、BはAに対して、離婚訴訟を提起し、養育費(月4万円)、財産分与(100万円)、慰謝料(100万円)及び年金分割を請求しているところである。Bは、別居前から、消費者ローン等から借入をし、負債額が300万円になったので、弁護士Xに債務整理を依頼した。X弁護士が破産申立をしたところ、裁判所は、Z管財人を選任し、破産手続を開始した。

問題

破産手続中、離婚訴訟はどのように取り扱われるでしょうか。また、慰謝料等は破産財団に含まれるでしょうか。

(解説)

【手続】
離婚訴訟
中断、受継等しないと考えます9

【破産財団に含まれるか否か?】

1 養育費
破産財団に属さないと解されます。
2 財産分与
破産財団に属さないと解されます10。
3 慰謝料
破産財団に属しません。
4 年金分割
破産財団に属しません。

(2)義務者の破産

【ケース9】

AとBは、別居して離婚について話し合っていたが離婚条件がまとまらず、BはAに対して、離婚調停、婚姻費用支払の調停を申立てた。同調停では、婚姻費用(月6万円)、養育費(月4万円)、財産分与(100万円)、慰謝料(200万円)及び年金分割を請求しているところである。Aは、別居前から、消費者ローン等から借入をしていた結果、負債額が300万円になったので、弁護士Xに債務整理を依頼した。その後、X弁護士がAの代理人として破産申立をしたところ、裁判所は、Z管財人を選任し、破産手続を開始した。

【問題】

破産手続中、離婚調停等はどのように取り扱われるでしょうか。また、慰謝料等は破産債権となるのでしょうか。

(解説)

【調停手続等について】
婚姻費用分担請求
破産法127条1項類推して、調停を破産管財人が承継すると思われます。11
離婚調停
特に影響はないと思われます。ただし、慰謝料については、破産債権となる場合があり得ます。
【破産債権該当性】
1 婚姻費用
破産債権となりますが、非免責債権です
2 養育費
養育費は、離婚に伴って具体的に発生すると解されるので、破産債権にはならないと思われます(「破産手続開始前」の原因にもとづいて生じた財産上の請求権といえないと思います)。すなわち、破産手続外で取り扱われることになると思われます。
3 財産分与
破産債権になりません。理由は、②と同じです12
4 慰謝料
慰謝料の性質によると思われる。当該慰謝料の性質が、婚姻関係の破たんをもたらすことになった個々の行為を慰謝料の発生原因とする場合、破産債権になると考えます。離婚するに至ったことを発生原因とする場合は、破産債権に含まれないように思われます。
5 年金分割
破産債権にはなりません。理由は、②と同じです。

【ケース10】

AとBは、別居して離婚について話し合っていたが離婚条件がまとまらず、BはAに対して、離婚訴訟を提起した。同訴訟では、養育費(月4万円)、財産分与(100万円)、慰謝料(200万円)及び年金分割を請求している。Aは、別居前から、消費者ローン等から借入をしていた結果、負債額が300万円になったので、弁護士Xに債務整理を依頼した。その後、X弁護士がAの代理人として破産申立をしたところ、裁判所は、Z管財人を選任し、破産手続を開始した。

【問題】

離婚訴訟はどのように取り扱われるでしょうか。また、慰謝料等は破産債権となるでしょうか。

(解説)

【裁判手続について】

特に影響を及ぼさないと考えます。ただし、慰謝料については、ケース9同様の問題が生じ、受継はあり得ます。

【破産債権該当性】
1 養育費
破産債権にはなりません。理由は、ケース9と同様です。
2 財産分与
破産債権にはなりません。理由は、ケース9と同様です13
3 慰謝料
慰謝料の性質によると思われます。理由は、ケース9と同様
4 年金分割
破産債権にはなりません。理由は、ケース9と同様です。

3 離婚後の破産

最後に、離婚した後の元夫婦一方の破産手続での留意点を若干指摘します。

(1)支払者(A)の破産

Ⅰ 既に支払済みの場合

① 財産分与
財産分与が不相当に過大であれば、否認の対象となり得ます(最判昭和58年12月19日民集37巻10号1532頁)。
② 慰謝料
不相当に過大であれば、否認の対象となり得ます(最判平成12年3月9日民集54巻3号1013頁)。
③ 養育費
養育費として相当な範囲であれば、否認の対象なりません。ただし、養育費の一括支払のケースは、否認の対象となり得ます14

Ⅱ 未だ未払いの場合

① 財産分与
破産債権となります15(取戻権にはならない。最判平成2年9月27日判例時報1363号89頁)
② 慰謝料
破産債権となります。
③ 養育費
開始決定時までのものは破産債権となります(ただし、非免責債権)。

(2)権利者(B)の破産

Ⅰ 既に受領済みの場合

① 財産分与
破産財団に属します。
② 慰謝料
破産財団に属します(ただし、自由財産の拡張で十分考慮されるべき。)。
③ 養育費
破産財団に属します(ただし、自由財産の拡張で十分考慮されるべき。)。

Ⅱ 未だ受領していないが、請求済みの場合

① 財産分与
破産財団に属します。
② 慰謝料
慰謝料の具体的な金額が当事者間において客観的に確定していない場合(要するに一身専属権が失われていない。)は、自由財産となりますが、債務名義の成立等、破産手続中に慰謝料請求が確定すれば、破産財団に属します。
③ 養育費
破産財団に属します(ただし、自由財産の拡張で十分考慮されるべき。)。
④ 年金分割
自由財産です。

Ⅲ 未だ受領しておらず、かつ請求もしていない場合

① 財産分与
財産分与請求は一身専属とは解されないので、離婚後2年以内であれば、破産財団に属すると考えてよいと思います。
② 慰謝料
自由財産になります。
③ 養育費
請求前の養育費は、婚姻費用分担請求の審判等では、その始期を請求時と解しているのが大半であり、原則として、請求前の養育費は、権利として成り立たないと考えます
④ 年金分割
自由財産です。

 

  1. 判タNo.1280北澤純一裁判官「夫婦の倒産事件における支払不能とそのおそれについて」11頁参照
  2. ただし、Aは、日常家事債務としてBの債務を負う可能性があります。夫婦の共同生活に必要な範囲で借金をすることも、日常家事に含まれると解されます(内田貴民法Ⅳ42頁)。
  3. ただし、現実には債権者がAに対して日常家事債務に基づき請求することはまず考えられません。
  4. ただし、現実問題として債権者がそのような請求をするかは疑問です。消費者ローン会社等は、貸倒れのリスクを知った上で、無担保で貸付けており、破産手続に至っても、ほとんど意見を述べたりすることもありません。
  5. 判タNo.1280北澤純一裁判官「夫婦の倒産事件における支払不能とそのおそれについて」(5頁~12頁)のケースを題材にした。北澤純一裁判官は、このケースにおいては、以下のとおり、4つの結論が考えられると述べる。
    1. A:個人再生手続開始、B:破産手続開始(同時廃止)
    2. A:個人再生手続開始、B:申立棄却
    3. A:申立棄却、B:破産手続開始(同時廃止)
    4. A:個人再生手続開始、B:破産手続開始(管財)
  6. 判タNo.990長井秀典裁判官「大阪地裁における破産事件の事務改善の試み」16頁参照
  7. 破産実務Q&A200問Q49、102頁では受継すると考えています。しかし、婚姻費用以外、付随手続で破産財団に含まれるものはないと解されるので、受継しないと解するのが相当と思われます。
  8. 破産実務Q&A200問Q49、102頁では、破産財団に含まれるとしています。しかし、あくまで、財産分与請求権は離婚によって発生するものであって、破産財団に含まれると解するのは困難です。仮に、本ケースでBが後に離婚調停を取下げたり、AB間で円満調停が成立したり、調停が不成立になったときを考えたとき、財産分与請求権が破産財団に含まれると解するのは相当と思われません。
  9. もっとも、破産実務Q&A200問Q49、103頁では、中断、受継するとしています。
  10. 破産実務Q&A200問Q49、102頁では、破産財団に含まれるとしています。しかし、のちに離婚訴訟をBが取下げたり、離婚請求が棄却された場合を想定すると、破産財団に含まれると解するのは困難と思われます。
  11. 「個人の破産・再生手続」(金融財政事情研究会)104~105頁を参照しています
  12. 破産実務Q&A200問Q49、102頁では破産債権にあたるとしています。
  13. 破産実務Q&A200問Q49、102頁では破産債権にあたるとしています。
  14. 破産実務Q&A200問Q48、99頁参照
  15. 学説の状況は、別冊ジュリスト倒産判例百選50参照