民事再生に必要となる費用と予納金を第三者からの借入で準備する場合

民事再生に必要となる費用について、簡単に整理してみました。

1 予納金の標準額(東京地方裁判所の場合)

民事再生の申し立てをする際には、裁判所に一定の予納金を積む必要があります(法24条1項)。予納金は、監督委員等の機関の費用及び報酬、送達・公告費用等のために費やされます。東京地方裁判所では、負債総額に応じて、予納金額の目安が示されています(ただし、規模によって増額する場合あり)。
予納金が乏しい場合ですが、分割払いの検討をすることになります。東京地方裁判所では、いずれの場合にも申立時に6割、開始決定後2か月以内に4割の分割を認めるとあります。
なお、関連会社は1社50万円とするが、規模によって増減するとあります。

負債総額 予納金額
5千万円未満 200万円
5千万円~1億円未満 300万円
1億円~10億円未満 400万円(5億未満)
500万円(5億以上)
10億円~50億円未満 600万円
50億円~100億円未満 700万円
100億円~250億円未満 900万円
250億円~500億円未満 1000万円
500億円~1000億円未満 1200万円
1000億円以上 1300万円

2 申立代理人の弁護士費用(着手金等)

申立代理人の着手金も必要となりますが、一般的には次の予納金と同程度以上(1.5倍から2倍)になることが多いでしょう。また、法律関係の問題も多々生じることが一般的ですので、顧問料の支払も必要になることが多いでしょう。事案が成功した場合には、別途、成功報酬も発生します。申立人はこれらの弁護士費用や予納金を日々の資金繰りを工夫してねん出していただくことが必要になりますが、事業再生の経験豊富な弁護士の場合には、資金繰り表の策定支援をしているはずですから、資金繰りを踏まえて支払可能な方法を検討してくれるはずです。

3 民事再生の予納金が十分でなく、第三者からの借入で準備する場合

会社に資金が足りず、スポンサーなどの第三者からの借入金で予納金をおさめることもない訳ではありません。当事務所でも予納金ゼロで民事再生を申し立て、申立直後に監督委員の同意を得て、借入をするとともに、共益債権化の承認申請をして、民事再生の予納金相当額を借入したことがあります。(参考事例4参照)ここでの注意点としては、借入の同意だけではなく、民事再生開始前の借入なので共益債権化の承認申請までしっかりと取っておくことです。借入をしたはいいけれども、共益債権化の承認申請を忘れたので再生債権になってしまうと、弁護過誤と言われても仕方ないでしょう。