事例紹介

事例紹介5 法的整理(民事再生)

売上高年商16億円程度、負債は10億円以上、少額弁済許可により取引先への支払を実現

事例5

1 案件概要

インターネットの検索で集客を図る修理事業であった。サービスには定評があり、本業自体は大幅に黒字であった。
しかしながら、当該修理事業は、将来シュリンクすることが見込まれており、前経営者は、飲食事業に乗り出していた。ところが、当該飲食事業がいずれも不採算であり、これにより資金繰りが非常に厳しい状態が続いており、一般業者への支払もできない状態に陥っていた。
そのため、当初は、別の法律事務所の弁護士が代理人となり、事業再生に着手したが、一般業者を含め、全債権者に受任通知を送付し、事業自体が混乱し、従業員が離散するなど、すでに信用悪化が進んでおり、事業価値が日々毀損している状態に陥っていた。その後、当事務所弁護士が代理人に就任し、資金繰りまで細かく確認し、本業の修理事業が入居していたビル(ハイスペックのため、賃料も高額であった。)からの撤退、赤字の続く飲食事業の廃止を断行し、事業再生を目指すこととした。すでに一般業者への支払を滞納し、信用不安が生じていたこと、賃貸借契約などの取引関係を抜本的に処理するためには、民事再生の申立てが合理的と判断し、民事再生の申立てを決断した。なお、不採算の飲食事業については、赤字垂れ流しを回避するため、スポンサー候補への事業譲渡を目指すこととした。
民事再生手続申立後、最初の課題は、集客の維持であった。集客事態をインターネットで行っていたが、検索エンジンの会社への支払が出来なくなると、検索エンジンの利用が出来なくなり、集客が出来なくなるという問題があった。そこで、民事再生法85条5項後段を利用して、少額弁済の許可を得て、検索エンジンの継続利用が実現できた。金融機関が当該業者への支払に理解を示してくれたことも裁判所が許可してくれた一因であった。
次なる課題は、修理事業の入る高額の賃料の生じるビルからの撤退であった。まずは撤退後の新たな賃借物件探しが重要であるが、民事再生会社に賃貸してくれる先を探すことは容易ではなかったが、経営陣等の熱意により、何とか新たなビルを探すことも出来た。従前のビルの賃料は到底支払う体力すらない状態であり、賃貸借契約解除後の賃料相当損害金倍額条項や高額の違約金などの契約となっていたため、賃貸人側の弁護士との交渉は厳しいものとなったが、事業再生の意義等を理解してもらい、当社側が一定額を支払う内容での和解が成立した。なお、飲食事業については、スポンサー候補は複数いたものの、最終的には賃貸人の理解が得られないなどの理由でスポンサー候補への事業譲渡は実行できなかった。飲食店の賃貸人の弁護士とも原状回復工事費用の支払いなど厳しい交渉となったものの、最終的には返済可能な一定額を支払う内容で交渉が成立した。
さらに、資金繰りも厳しい状態であったが、民事再生後の会社にDIPファイナンスしてくれる銀行を見つけ、融資を受けることが出来た。DIPファイナンスは、運転資金のための融資が一般的であるが、本件の場合には、ビルの撤退など事業再構築のためにも使うことが予定されており、その意味では珍しい事案であった。
その後、自主再建型の再生計画を立案し、ほぼすべての債権者の同意を得て、再生計画は認可された。会社は現在も堅調な業績を上げており、再生計画で約束した支払については、リファイナンスや手元資金により、一括弁済し、再生手続は終了している。

2 事業再生が奏功したポイント

  • 民事再生後も検索エンジン会社への支払が出来たこと
  • 一般消費者向けのビジネスであったため、民事再生の影響がほとんどなかったこと
  • 資金繰りを精査し、賃料の支払いを延滞するなどして資金を作ったほか、DIPファイナンスを受けることが出来たこと
  • 賃貸人代理人のもとに足しげく通う交渉を行い、理解が得られたこと
  • 修理事業の新たな移転先を見つけることが出来たこと
  • 民事再生手続の法的効力(民事再生法49条により、契約解除ができる。)により、比較的有利な条件で、不採算事業の飲食店を閉鎖できたこと
  • 従業員の離散を防ぐことが出来たこと